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半透明――透明でも不透明でもなく,白でも黒でもなく,なんとも曖昧な妖しい世界.しかし,そのどっちつかずの両義性にこそ,従来の窮屈な芸術観を乗りこえる豊かな可能性が潜んでいるとしたら? アリストテレス,聖書,ダンテ,ドゥルーズらの言葉と数々の芸術作品との交差点から,知られざる「半透明の美学」が姿を現す.
■著者からのメッセージ
ちなみに,「半透明」をネットで検索してみよう.いちばんたくさん出てくるのは,ご想像のとおり,ゴミ袋に関する項目である.何よりもこのことが,「半透明」にたいするわたしたちの,どちらかというと負のイメージを象徴している.要するに,お払い箱,あいまい,役立たず,というわけである.
それにもかかわらず,なぜ「半透明」について論じようとするのか.そもそもいったい,今このときに思考するにあたいするどんな意味が,「半透明」なるものにあるというのだろうか.のっけから,読者の皆さんの多くがそんな疑問を抱かれているにちがいない.だが,それにもかかわらず,「ゴミ袋」にも等しい世界にあえて皆さんを誘うこと,それが小著の意図するところである.
そのためにわたしは,四つの扉を用意した.まずは,第I章「透明でもなく,不透明でもなく」.ここでわたしは,「透明か,不透明か」のドラスティックな二分法で物事をかたづけてしまいがちなわたしたちの傾向にたいして,(過去から現代の芸術の批評を例に)いくつかの観点から問題を提起した.
岡田温司
定価: ¥ 2700
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